睾丸が腫れる。陰嚢に水がたまる陰嚢水腫の原因と鼠径ヘルニア手術、漢方薬
睾丸が腫れる。陰嚢に水がたまる陰嚢水腫の原因と原因疾患の対策。
鼠径ヘルニアなどの手術治療や漢方薬での治療例を漢方薬剤師が解説します。
◆陰嚢水腫(いんのうすいしゅ)について
陰嚢水腫とは男性器の精巣を守っている袋の部分に水がたまることです。
腹の中の臓器を浮いた状態にしている腹水が陰嚢に漏れてでることによって陰嚢水腫が発生します。その他、成人の陰嚢水腫においては、炎症が原因となる場合はあります。炎症は精巣や精巣上体と呼ばれる部位に感染症や睾丸癌をきっかけに生じることがあり、陰嚢水腫となる場合があります。
◆陰嚢水腫の原因
陰嚢水腫には先天性の陰嚢水腫と後天的な陰嚢水腫があります。
先天的な陰嚢水腫は、精巣が袋に入るときに腹膜から離れて、腹膜が突起状に閉じる際にきちんと閉じていない閉鎖不全や、発育過程によって腹圧が上昇したり、腹水が増加したりすることによって精巣ができる際に腹水が袋に入ることによって発生します。乳幼児がほとんどです。
後天的陰嚢水腫は成人に発生するもので、睾丸の
炎症、外傷、腫瘍などに伴い陰嚢に水がたまる症候性(別の病気による)水腫がほとんどです。
◆陰嚢水腫の進行と鼠径ヘルニアの手術治療
乳児の陰嚢水腫は9割以上が1歳までに自然に消えてしまうので、治療は行わず観察だけを行う場合が多くなっています。
一部の陰嚢水腫では腸の一部が袋に出てくる鼠径(そけい)ヘルニアを合併する場合や、ニワトリの卵よりも大きな水腫、2年経過をみても治らない場合には治療を行います。
治療は手術で、腹水の漏れる部分をふさぐことで陰嚢水腫の原因を取り除きます。手術は全身麻酔で行う場合が多いですが、通常30分以内で終了します。病院によっては午前中に手術して、麻酔から完全に覚め、発熱がなく、飲水・排尿に問題がなければ夕方には帰宅できる場合があります。 その他炎症、外傷、腫瘍などの原疾患の治療を行います。
かつては陰嚢の水分を注射針で取り除くことを行うお医者さんがいますが、これは対症療法で水を抜くことにより、また腹水が漏れ出ることになり、再発を繰り返し、感染症の危険性を伴うことから今では行われていません。
◆陰嚢水腫の手術以外に漢方薬で完治した例もあります。
1歳までに9割が自然治癒しますが、残りの1割には症状が残ります。手術ができる用意なるには3歳ぐらいから可能ですが、体質によっては幼稚園や小学校入学前に手術を行うことがあります。その間、自分の性器が他人と違うということがトラウマになる可能性があることから漢方薬を用いる事があります。(注射器で水を抜くのは前述のように治療としては適していません。)
治療に使われる漢方薬には水のめぐりをよくして、陰嚢水腫を小さくするものがあります。この場合には腹腔突起が完全に閉まるわけではないので、再発することがあります。
もう一つの漢方薬はお腹の筋肉を引き締めて、穴を自力で閉じてしまうという方法です。これは症例によっては完治する可能性がありますが、一般化されているわけではありません。(「漢方治療が奏効した小児印欧水腫の一症例」日東医誌 59(4)647、2008、と奏功したことが1例だけで文献になっています。)
記載した文献は以下のアドレスに載っています。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kampomed/59/4/59_4_647/_pdf
その他陰嚢水腫の原因が分かった場合には、それに対応する漢方薬なども検討したほうがいいでしょう。 抗炎症や腎虚系、水分排出系の漢方薬が適しています。
詳しくは漢方薬に詳しい漢方薬剤師などの専門家にご相談ください。
中尾 典義(なかお のりよし)
榎屋相談薬舗 株式会社 代表取締役
(社) 日本漢方連盟 漢方委員
資格:薬剤師
担当:がんや免疫疾患、なかなか回復困難と言われた様々な病気に対応します。
1968年福岡県行橋市生
岡山大学大学院薬学研究科修士課程修了
元吉富製薬㈱東京研究所にて免疫抑制剤の研究(現田辺三菱製薬)研究所を退職後、漢方を心座右。
▶︎漢方で日本を元気にするパワフル漢方薬剤師のブログ
中尾 典義(なかお のりよし)
■経歴
■担当
■自己紹介
■趣味
■尊敬する人
■性格の自己分析
■お客様と話していて、どんな瞬間がうれしい?
「中尾さんが本当に親切にしてくれるから感謝している。」 など
良い結果や信頼のお言葉を頂けることが、医療人、薬剤師として嬉しく思います。
■和漢方について
■弊社にお問い合わせくださるお客様へ
初代からの「応病施薬 臨機応変」の家訓を元に、私どもを頼ってくださる
患者様に、現在の病院での治療経過を踏まえた上での最適解、最適なご提案をさせて頂いています。 弊社スタッフも成長し、まだ若いですが、しっかり人間的成長もしています。 どうぞご安心してお問い合わせください。 全国から多数のご相談を頂きますのでお待たせすることもあります。 そのため、必ずご予約をお願いいたします。
■私の研究者としての実績
https://www.chem.wisc.edu/deptfiles/chem343-gellman/F13_LecNotes/Fingolimod%20discovery.pdf
https://www.mt-pharma.co.jp/shared/show.php?url=https://sodando.jp/ir/kojin/future/imu.html
■獲得した特許
(日和見感染症やマラセチア感染などの真菌感染症の治療、予防のための製品の提供)
(天然由来の生薬を含有し、循環器機能を向上させながら皮膚状態を改善することができる経口投与組成物を提供する。)
■今後の研究活動への想い
皆様の健康回復にお役に立てることを願っています。
■薬剤師免許書
■雑誌「統合医療で癌に克つ」に掲載されました。
■私のブログ「日本の社長をもっと元気にする漢方薬剤師」