糸球体腎炎の分類と漢方薬での対策法に
急性糸球体腎炎と慢性糸球体腎炎の区別と漢方薬に関する解説急性糸球体腎炎と慢性糸球体腎炎の区別と漢方薬による対策について漢方薬剤師が解説します。

◆腎臓の働き
腎臓は、尿をつくる臓器で、左右の背中近くに2つ備わっています。
身体の中の老廃物を尿として体外に排出する働き、尿量を調整することによる身体の水分量の調節、ナトリウムやカリウムといった電解質を尿中に排出する量を調整し体内の電解質の量を調整する働きに加え、造血ホルモン(エリスロポエチン)を分泌したり、骨を丈夫にする活性型ビタミンDを調節したりと、非常に重要な働きを担っています。
また、水分や電解質の調整を行う事で、血圧の調整も行っています。
そのため腎臓を大切にしていく事は、自分の健康上かなり重要です。

◆腎臓の病気の種類
腎臓が悪くなった時に通院する先として、腎臓内科や泌尿器科を思い浮かべると思います。腎臓内科や小児科で扱う病気としては、腎炎や慢性腎不全、ネフローゼ症候群などがあり、泌尿器科で扱う疾患としては腎がんや腎結石など外科的な処置が必要なものがあります。

◆尿ができる仕組みと糸球体
腎臓の中の構造で、尿をつくる構造をネフロンといいます。腎臓にはネフロンが約100万個あると言われています。
ネフロンの最初の部分には毛細血管が毛糸玉のようにぐるぐると巻かれ集まった部分があり、この部分を糸球体と呼んでいます。糸球体の周りにはボウマンのうという袋があり、糸球体は血液をボウマンのうに濾しだす働きをしています。この濾しだされた液が原尿という尿の元になる液体です。原尿には老廃物の他にも身体に必要な成分も含まれているので、このあとに続く管で必要な成分を回収して、最終的な尿ができあがります。

◆糸球体腎炎とは
先ほど述べた糸球体に炎症が起こり、血尿や蛋白尿が出る病気を糸球体腎炎と呼びます。
この場合、血尿は目に見える血尿(肉眼的血尿)の場合もあれば、肉眼では正常な色に見える血尿(顕微鏡的血尿)の場合もあります。
糸球体腎炎には以下の2つがあります。
・急性糸球体腎炎
・慢性糸球体腎炎

◆急性糸球体腎炎
細菌による扁桃・喉や皮膚の細菌感染(溶血性連鎖球菌など)による炎症をきっかけに、起こります。
風邪のような症状がおさまって、1~2週間後に、血尿や蛋白尿、浮腫、高血圧、全身倦怠感、頭痛、嘔気などの症状が出現して発症します。重症の場合は、尿が全く出なくなり、肺まで浮腫んでしまい、一時的に人工透析が必要になる場合もあります。
治療は、急性期には原因となった細菌を殺す抗生物質の使用や、降圧薬、利尿薬が使用される事があります。その他に、安静、保温、や食事制限(水分、塩分、タンパク質の制限)などの腎臓に負担をかけないような治療を行います。
多くの場合は、急性期が過ぎると高血圧や浮腫などの激しい症状は改善し、1~3か月後には血尿や蛋白尿も改善します。6か月程で完全に治ってしまうことが多いとされており、慢性糸球体腎炎と違って完全に治るという事も特徴の一つです。 いずれにしても時間がかかり患者さんは苦しむので、免疫を向上するような漢方薬や、抗炎症の漢方薬、腎臓機能を元気にするような漢方薬なども取り入れると治療期間と改善期間が早くなると考えられます。
その他の特徴として、4~10歳くらまでの小児に多くみられます。ただ、成人や高齢者でもみられることはあります。これも結局免疫力が低下している小児が増えているからではないでしょうか?

◆慢性糸球体腎炎
慢性糸球体腎炎は、糸球体に炎症が起こった結果、血尿や蛋白尿が長期間(1年以上)続く病気の総称です。
単一の病気ではなく、総称であって、この中に様々な種類の病名が含まれ症状の重篤度や顕微鏡で見た腎臓の組織像や治療法も異なります。
原因がはっきり分からないものが多いですが、免疫反応の異常によるものが多いと考えられています。薬物療法(降圧薬、利尿薬、ステロイドなど)や食事療法(減塩、タンパク制限)などが治療として用いられる事が多いですが、急性糸球体腎炎と違い完治が難しく、最終的に腎機能が高度に低下して人工透析に移行する患者さんもおられます。
症状としては、血尿、蛋白尿、高血圧、浮腫などがあります。
現代医療としては、完治の方法がないため、東洋医学や漢方薬などを併用していく方が無難だと考えられます。

◆糸球体腎炎と市販薬や漢方薬
今回は医薬品を内服する際の注意事項を掲載します。
腎機能が低下しているときは、老廃物を体外に排出する能力が弱っているため、体内の薬物血中濃度が上昇しやすく、薬の副作用が起こりやすいため注意が必要です。医薬品が長く体内に残ることで薬物の濃度が高くなりすぎて作用が強く出すぎて危険な事もあるので、用量を減らして処方しなければならない薬も多くありますので、自身の判断で市販薬などを購入して内服することは控えることをお勧めします。
何か飲みたい薬やサプリがある時は、必ず主治医に相談してからにしましょう。特に、アリストロキア酸という成分を含む中国の漢方薬で、漢方薬腎症という腎障害が世界各国で発生した事例もありますので、厳重な注意が必要です。
詳細はここに報告されています。 https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail684.html
そのため腎臓の改善する腎炎用の漢方薬を探す場合には、腎臓病に詳しい実績のある漢方薬剤師などの専門家にお尋ねください。

中尾 典義(なかお のりよし)
榎屋相談薬舗 株式会社 代表取締役
(社) 日本漢方連盟 漢方委員
資格:薬剤師
担当:がんや免疫疾患、なかなか回復困難と言われた様々な病気に対応します。
1968年福岡県行橋市生
岡山大学大学院薬学研究科修士課程修了
元吉富製薬㈱東京研究所にて免疫抑制剤の研究(現田辺三菱製薬)研究所を退職後、漢方を心座右。
▶︎漢方で日本を元気にするパワフル漢方薬剤師のブログ
中尾 典義(なかお のりよし)
■経歴
■担当
■自己紹介
■趣味
■尊敬する人
■性格の自己分析
■お客様と話していて、どんな瞬間がうれしい?
「中尾さんが本当に親切にしてくれるから感謝している。」 など
良い結果や信頼のお言葉を頂けることが、医療人、薬剤師として嬉しく思います。
■和漢方について
■弊社にお問い合わせくださるお客様へ
初代からの「応病施薬 臨機応変」の家訓を元に、私どもを頼ってくださる
患者様に、現在の病院での治療経過を踏まえた上での最適解、最適なご提案をさせて頂いています。 弊社スタッフも成長し、まだ若いですが、しっかり人間的成長もしています。 どうぞご安心してお問い合わせください。 全国から多数のご相談を頂きますのでお待たせすることもあります。 そのため、必ずご予約をお願いいたします。
■私の研究者としての実績
https://www.chem.wisc.edu/deptfiles/chem343-gellman/F13_LecNotes/Fingolimod%20discovery.pdf
https://www.mt-pharma.co.jp/shared/show.php?url=https://sodando.jp/ir/kojin/future/imu.html

■獲得した特許
(日和見感染症やマラセチア感染などの真菌感染症の治療、予防のための製品の提供)
(天然由来の生薬を含有し、循環器機能を向上させながら皮膚状態を改善することができる経口投与組成物を提供する。)
■今後の研究活動への想い
皆様の健康回復にお役に立てることを願っています。
■薬剤師免許書

■雑誌「統合医療で癌に克つ」に掲載されました。

■私のブログ「日本の社長をもっと元気にする漢方薬剤師」
