耳下腺炎の説明と漢方薬での治療方針に関する解説
耳下腺炎の説明と慢性化した場合の漢方薬での治療方針を漢方薬剤師が解説します。

◆耳下腺炎とは
耳下腺炎とは、何らかの原因で耳下腺に炎症が起こっている状態です。
耳下腺とは、耳の下の部分にある組織で、大唾液腺という組織に分類されており、唾液を作っています。耳下腺で作られた唾液は耳下腺管を通って口の中に放出されます。

◆耳下腺炎の種類
・ウィルス性耳下腺炎
この中で最も有名なのが、ムンプスウィルスが原因の流行性耳下腺炎(いわゆる「おたふくかぜ」)です。残念ながら、ウィルス性耳下腺炎の原因ウィルスを直接殺すような薬はなく、治療は安静、対症療法(痛み、発熱などの症状を和らげる薬を使う)になります。髄膜炎、脳炎、膵炎、難聴などの合併症を起こすことがあります。そのために免疫力を高めること、炎症を鎮めることが悪化予防に重要です。
・細菌性耳下腺炎
細菌感染が原因で起こります。発熱や痛みなどの症状が激しくなる傾向にあります。
治療は原因の細菌を殺す抗生物質です。1週間から10日間は服用する必要があります。
・反復性耳下腺炎
繰り返し起こる耳下腺腫脹で、はっきりした原因は分かっていませんが、口の中の常在菌や弱毒菌が耳下腺管から逆行性(本来の通り道の順番は耳下腺→口腔内だが、口腔内→耳下腺と本来とは逆の順路を遡って細菌が侵入してくることを逆行性といいます)に感染することにより起こる、アレルギーが関与しているなどといわれています。
片側だけの事が多いですが両側の耳下腺が腫れる事もあります。熱は出ない事が多いですが、出る事もあります。痛みや腫れは2~3日で治まる事が多く、痛みもあまり強くありません。
小児期に多く、数か月から1年の感覚で耳下腺腫脹を繰り返しますが、大人になる前に治ってしまう人が多いといわれています。 いずれにしても免疫力低下が疑われます。

◆流行性耳下腺炎と反復性耳下腺炎の違い
実は、初めて起こる反復性耳下腺炎と流行性耳下腺炎は病院を受診しても見分ける事は簡単ではありません。
どちらか区別がつかない事も多く、そのような時は、流行性耳下腺炎であった時の事を考えて学校や幼稚園は休まなければなりません。(流行性耳下腺炎は法律により感染力の高い時期は学校を休まなければならないと決められています。)
流行性耳下腺炎は両側の耳下腺が腫脹することが多いですが片側だけの時もあり、反復性耳下腺炎は片側だけの腫脹が多いですが両側腫脹することもありますので、片方しか腫れていないから、両方腫れているからといって診断はできません。流行性耳下腺炎は学校を休まなければならない程感染力の強い病気ですが、反復性耳下腺炎は他人にうつることはありません。

◆耳下腺炎と漢方
反復性耳下腺炎に対して、耳下腺が炎症を起こしているときに炎症を鎮める作用の漢方薬や、炎症が治まっているときに身体の免疫力を高めるような漢方を内服する方もいますが、前述したように反復性耳下腺炎は流行性耳下腺炎との区別が難しい病気ですので、絶対に自己判断せずに内服する前には、必ず医師の診断と内服の許可を受けるようにしましょう。
耳下腺炎の漢方処方として荊芥連翹湯や排膿散及湯がよくつかわれます。 炎症が強く痛みが増す場合には白花蛇舌草や田七人参を併用するといいでしょう。 そういう物は漢方に詳しい薬剤師などの専門家にお尋ねください。

中尾 典義(なかお のりよし)
榎屋相談薬舗 株式会社 代表取締役
(社) 日本漢方連盟 漢方委員
資格:薬剤師
担当:がんや免疫疾患、なかなか回復困難と言われた様々な病気に対応します。
1968年福岡県行橋市生
岡山大学大学院薬学研究科修士課程修了
元吉富製薬㈱東京研究所にて免疫抑制剤の研究(現田辺三菱製薬)研究所を退職後、漢方を心座右。
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中尾 典義(なかお のりよし)
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■性格の自己分析
■お客様と話していて、どんな瞬間がうれしい?
「中尾さんが本当に親切にしてくれるから感謝している。」 など
良い結果や信頼のお言葉を頂けることが、医療人、薬剤師として嬉しく思います。
■和漢方について
■弊社にお問い合わせくださるお客様へ
初代からの「応病施薬 臨機応変」の家訓を元に、私どもを頼ってくださる
患者様に、現在の病院での治療経過を踏まえた上での最適解、最適なご提案をさせて頂いています。 弊社スタッフも成長し、まだ若いですが、しっかり人間的成長もしています。 どうぞご安心してお問い合わせください。 全国から多数のご相談を頂きますのでお待たせすることもあります。 そのため、必ずご予約をお願いいたします。
■私の研究者としての実績
https://www.chem.wisc.edu/deptfiles/chem343-gellman/F13_LecNotes/Fingolimod%20discovery.pdf
https://www.mt-pharma.co.jp/shared/show.php?url=https://sodando.jp/ir/kojin/future/imu.html

■獲得した特許
(日和見感染症やマラセチア感染などの真菌感染症の治療、予防のための製品の提供)
(天然由来の生薬を含有し、循環器機能を向上させながら皮膚状態を改善することができる経口投与組成物を提供する。)
■今後の研究活動への想い
皆様の健康回復にお役に立てることを願っています。
■薬剤師免許書

■雑誌「統合医療で癌に克つ」に掲載されました。

■私のブログ「日本の社長をもっと元気にする漢方薬剤師」
