アトピー性皮膚炎の原因と対策、漢方薬などでの治療法を福岡の漢方薬剤師が解説
なかなか治らないアトピー性皮膚炎の原因と対策、
漢方薬などでの治療法を福岡の漢方薬剤師が解説します。
福岡県の患者さんはぜひご覧ください。

◆アトピー性皮膚炎とは
アトピー性皮膚炎は、良くなったり・悪くなったりを繰り返す、痒みのある湿疹を主な病変とする疾患で、患者さんの多くはアトピー素因を持つ疾患と定義されています。
アトピー素因とは、家族や本人に気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎、アトピー性皮膚炎のうちのいずれかのアレルギー疾患があること、または、IgE抗体というアレルギーを起こす免疫物質を体内で産生しやすい素因のことを言います。

◆アトピー性皮膚炎の原因
アトピー性皮膚炎の原因は不明とされており、ダニやホコリ、食物アレルギーなどが悪化要因とされています。 最近では腸内環境の悪化により、腸管にカンジダなどの真菌が増え、腸の粘膜に穴が開き、内容物が血液中に漏れ、それによるアレルギーであるというリーキーガット症候群が注目を浴びるようになりました。私は個人的にそれに加えて、肝臓や腎機能などの解毒機能が低下しているように感じます。

◆アトピー性皮膚炎の病態
アトピーは、皮膚バリア、アレルギー炎症、痒みの3つの点から考えると理解しやすいです。
・皮膚バリア
皮膚は何層にも細胞が重なって、外からの物質が体内に侵入するのを防いでいますが、アトピー性皮膚炎の患者では、元々体質的に皮膚バリア機能が低下しやすく、それにより様々な刺激に対して皮膚が過剰に刺激され、炎症が起こりやすくなっていると考えられています。更に、掻いて傷が出来たり、角層が剥がれたりすると更に皮膚バリア機能が低下してしまい、様々な物質による刺激を受けてかゆみと、炎症が悪化するという悪循環に陥ってしまいます。
さらに皮膚バリア機能が弱いので、常に黄色ブドウ球菌などの細菌感染や、カンジダ、マラセチアなどの真菌感染を起こしやすくなります。 そのために皮膚常在菌の管理も重要です。
・アレルギー炎症
皮膚バリア機能が低下すると、アレルゲンが皮膚へ侵入しやすくなります。アレルゲンが侵入すると、免疫機構によって排除される事になりますが、この外からの物質を排除しようとする免疫の過剰反応がアレルギーによる炎症です。 そのため抗アレルギー剤などでアレルギー反応をある程度抑えていく必要があります。
・痒み
アトピー性皮膚炎の患者さんは痒みに過敏です。健常人では痒みを引き起こさない程度の刺激でも痒みとして感じることがあります。患者さんの皮膚では、痒みを伝える神経線維の分布が皮膚の表面近くまで伸びており、痒みを起こしやすい状態になっていると考えられています。 そのため抗ヒスタミン薬などのかゆみ止めも上手に使っていく必要があります。

◆アトピー性皮膚炎の治療のポイント
現在行われている主な治療は以下のようなものです。
・塗り薬
・飲み薬
・保湿
・アレルゲンの対策
・塗り薬
塗り薬には、ステロイド軟膏、免疫抑制剤のタクロリムス軟膏(プロトピック軟膏)が主に使われます。二つとも炎症を抑える効果がある塗り薬です。その他抗ヒスタミン薬の軟膏や、その皮膚科に応じて組み合わせて調合する場合があります。
1)ステロイド軟膏
最もポピュラーに使われ、抗炎症効果も高いお薬です。ステロイドには、副作用の面が強調された時期もあり、恐怖を抱く方もいるかもしれません。しかし、ステロイド軟膏には、その炎症を抑える効果の強さによって5段階にクラスが分けられており、皮膚の薄いところには弱いクラスの薬を、皮膚が厚いところには強いクラスの薬、炎症の強い部位には強いクラスの薬、炎症が弱い部分には弱いクラスの薬というように、医師は副作用がでないようにステロイド軟膏を使い分けていますので、医師の指示を守って適切に使用する分には副作用のリスクは低減します。
ステロイドの副作用が怖いからと言って、酷い炎症が起こっているのに、弱い薬を使っていてはいつまで経っても炎症を抑える事はできません。
2)タクロリムス軟膏(プロトピック軟膏)
免疫を抑制する塗り薬です。アトピー性皮膚炎の皮膚炎症は免疫による過剰なアレルギー反応ですので、その免疫の反応を抑える薬です。しかしながら痛みやピリピリ感などが出る方も多いようです。
・飲み薬
痒みを抑える作用のある抗ヒスタミン薬、抗アレルギー剤や症状が重い場合は免疫を抑制する作用のあるシクロスポリン、内服のステロイドが使われる事があります。
消風散や温清飲などの皮膚病用の漢方薬を出す医師もおられるみたいです。
・保湿
皮膚バリアの破綻というのが、病態に大きく関わっていますので、保湿は非常に重要です。保湿剤を使用して、皮膚のバリア機能を高め、外からの物質がなるべく皮膚に侵入しないようにします。しかしながらワセリン軟膏などの多様な塗布は毛穴を防ぎ、皮膚呼吸がしにくくなるので、逆効果という場合も見受けられます。
・アレルゲンの対策
ダニ、花粉など特定のアレルゲンに反応してアレルギー反応を起こす患者さんでは、布団を洗う、掃除機で布団のダニを吸い取る、室内の掃除、などの対策をすることで効果があります。 また食物アレルギーはその食物を避けることが重要ですがかえって栄養のバランスを乱すこともあります。 そのため乳酸菌生成エキスや水溶性食物繊維などの腸内環境を改善するものを多用し、リーキーガット症候群を改善することを目指したほうがいいでしょう。


中尾 典義(なかお のりよし)
榎屋相談薬舗 株式会社 代表取締役
(社) 日本漢方連盟 漢方委員
資格:薬剤師
担当:がんや免疫疾患、なかなか回復困難と言われた様々な病気に対応します。
1968年福岡県行橋市生
岡山大学大学院薬学研究科修士課程修了
元吉富製薬㈱東京研究所にて免疫抑制剤の研究(現田辺三菱製薬)研究所を退職後、漢方を心座右。
▶︎漢方で日本を元気にするパワフル漢方薬剤師のブログ
中尾 典義(なかお のりよし)
■経歴
■担当
■自己紹介
■趣味
■尊敬する人
■性格の自己分析
■お客様と話していて、どんな瞬間がうれしい?
「中尾さんが本当に親切にしてくれるから感謝している。」 など
良い結果や信頼のお言葉を頂けることが、医療人、薬剤師として嬉しく思います。
■和漢方について
■弊社にお問い合わせくださるお客様へ
初代からの「応病施薬 臨機応変」の家訓を元に、私どもを頼ってくださる
患者様に、現在の病院での治療経過を踏まえた上での最適解、最適なご提案をさせて頂いています。 弊社スタッフも成長し、まだ若いですが、しっかり人間的成長もしています。 どうぞご安心してお問い合わせください。 全国から多数のご相談を頂きますのでお待たせすることもあります。 そのため、必ずご予約をお願いいたします。
■私の研究者としての実績
https://www.chem.wisc.edu/deptfiles/chem343-gellman/F13_LecNotes/Fingolimod%20discovery.pdf
https://www.mt-pharma.co.jp/shared/show.php?url=https://sodando.jp/ir/kojin/future/imu.html

■獲得した特許
(日和見感染症やマラセチア感染などの真菌感染症の治療、予防のための製品の提供)
(天然由来の生薬を含有し、循環器機能を向上させながら皮膚状態を改善することができる経口投与組成物を提供する。)
■今後の研究活動への想い
皆様の健康回復にお役に立てることを願っています。
■薬剤師免許書

■雑誌「統合医療で癌に克つ」に掲載されました。

■私のブログ「日本の社長をもっと元気にする漢方薬剤師」
